加害者が親同伴でやってきた

加害者から電話があった。
会いたいということだったが、こちらは体調が悪く会う気にはなれない。
しかし親も実家から来ているということなので、どうしても会って欲しいとのことだった。
仕方なく、家の近くの路上で会うことにした。

加害者の親は息子の事故の謝罪のため、弘前から八戸まで駆けつけたとのことだった。

加害者の父親と母親が謝罪の言葉を口にし、深々と頭を下げる。加害者本人もそれに倣う。
そして菓子折りを渡そうとするが、私はそれを受け取らない。そして

「謝罪も大事とは思うが、現状を回復してもらうこと、それが私の望みだ」

私はそう言った

もちろん事故の前の状態になるように必ず息子にやらせますので、と父親が頭を深く下げ、母親も頭を下げる。
そして父親は息子に向かって、この人に追わせた被害を必ず回復するように、例え自分がどんなに辛くともと、どんなことをしてでも償いをするように約束しろと強く言った。
加害者は頷き頭を下げる。

この時の私はその姿を見て、愚かにも加害者とその親を信じてしまった。

加害者は20代半ばの男性で、職業は教師。
八戸市立の中学校の教師で公務員。若いとはいえ地方都市での公務員のと言えば十分な給与をもらっている立場にあり、同世代の民間企業に勤める者よりも金銭的には裕福であることが多い。
仮に相手側の任意保険でカバーしきれなくても、少なくとも同世代の人よりは金銭的に何とかしてくれるはずだとそう思った。
おまけに親まで出てきている。成人した子供の罪のためにわざわざ駆けつけ頭を下げ、こちらの目の前で約束させたのだから、これでもし今後、私の身体の傷が治らない場合でもなんとかしてくれると、私は信じてしまった。
それは身体に関しても必ず治させるとを加害者の父親が約束したからでもある。

菓子折りを受け取り、私はその場を後にした。
加害者の両親は何度も何度も頭を下げていた。
もし、あの時の加害者の親の言葉が本当のもので、私が十分な被害回復を受けられていたら今より少しはマシな状態にあるのではないかと、そう思うことは少なくない。

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