修理工場からの連絡

事故から数日後、ディーラーから依頼されたという修理工場から連絡があった。
指定された住所に向けて代車のパッソを走らせた私、着いたのは八戸市でも郊外に近い場所にある修理工場。

店内に入ると、そこの社長が出迎えてくれた。
まずは身体のことを心配してくれたが、次の言葉に私は耳を疑った。
「あんなひどい渋滞はなかなかみない…よく命がありましたね」
命を落としていてもおかしくはないぐらいの車の損傷だったと、私はこの時初めて知った。

詳しい状態を聞く前に、車を見せてもらうことになった。
納車から一月も経っていないパレットは、見るも無残な姿に変わっていた。

前から見た時にはそれほど損傷は感じられなかった。前の車に玉突きした時についたであろうへこみはあるが、わりと原型をとどめているように見えた。
しかし近づいて運転席側に回ると、その被害の大きさがまざまざと見せつけられる。
右後ろのスライドドアが前に飛び出し運転席のドアを覆い尽くさんばかりの状態。運転席を開けるとギリギリ、本当にギリギリで運転席ドアが開いた。
中に入ると運転席のシートが倒れている。横のレバーを引いてもシートは起き上がってこない。手でシートを起こしてみるが、何の引っ掛かりもなくまた後ろに倒れていく。
外に出て車の後部に回る。そこは大きく潰れてひしゃげているといえばいいのか…元々跳び箱のような台形の後ろ姿で個人的にそこが気に入っていたのだが、形が変形してしまい惨めな姿となっていた。
どのようなぶつかり方をしたらこのようになるのか、ボディーの右後ろにはソフトボール大の穴が空いており、そこから右後輪のタイヤが覗いている。
説明を聞く前に、私の頭の中にはある結論が浮かんでいた。
「廃車にするしかない…」
その結論は間違ってはいなかったようだ。

店内に戻った私に、社長が説明をしてくれた。話を要約すると、

全てのパーツを交換しフレームを叩き直せば修理できないことはない。
しかしそれで次の車検に通る保証はできないほどフレームが歪んでいる。
パーツ代だけでも100万円ぐらいになるだろう。
あれだけのダメージをフレームに負っているので、不具合が出る可能性がある。
あれだけひどい状態は滅多にない。新車を買ってもらう方がいいし、それが叶わないならばあまりにも可哀想過ぎる。

とのことだった。
「あぁ…商売で修理することもためらうほど酷い事故を負わされたんだ…」
と私は思った。「これは絶対に相手に新車を買い直してもらうべきだ、そうでなければ悲惨すぎる」社長は最後までそう言っていた。

医者も含めて周りから「軽症だ」と言われ続け、それなのにこんなに痛みを覚えている自分は間違っているのだろうかと、卑怯者だろうかとここ数日悩んでいた私は、この時に初めて自分が間違っていないかもしれないと考えるようになった。

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